私は、市民による心肺蘇生の実施やAED使用の効果など、院外心停止事例の蘇生実態を客観的に検証するとともに、心肺蘇生・AEDの普及啓発を進めてきました。心臓突然死は、日本で年間約70,000人と報告されています。その場に居合わせた市民が心肺蘇生とAEDを用いた電気ショック行うと救命の可能性が約4倍高まることが実証されています。心停止の現場に居合わせた一般市民による心肺蘇生は15年前には20%以下でしたが、最近は40%以上にまで増加しています。救急救命士制度の充実と合わせ、病院前救急医療体制はこの20年間で着実に改善し、院外心停止事例の救命率は上昇してきました。しかし、脳機能良好な1ヶ月生存者は心停止の現場を目撃された事例でも8%程度と非常に低い状態です。日本ドクターカー協会の理念である「救える命は救いたい!」そして院外心停止事例の社会復帰率の向上は、私の目指している目的と同じです。1人でも多くの方の尊い命を救う日本ドクターカー協会の取り組みに賛同し、期待します。
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私は地域に密着した24時間対応の在宅訪問診療を行っております。在宅医療は、各科の専門性よりもプライマリケアが中心となっております。
在宅医療は日々の通院が難しい患者さんに向けた医療であり、その中には急変時に救命しなければならない命もあれば、高齢や末期癌などでそのまま居宅で看取る命もあります。
前者に対してはドクターカーは有用なデバイスとなり得、その普及は地域医療を支える柱になり得るのではないかと考えております。同時に救急車やドクターカーの適正使用も重要であり、不必要な呼び出しなどは防ぐ必要があります。
そのためにも我々は患者さんとその家族、またその地域に携わる医療従事者に対し、「その人に応じた適切な医療行為とは何なのか?」という問いを一緒に考えてもらい、その時に導かれる答え(1つではありませんが)を皆で共有できるような医療体制を目指しています。そうした地域医療の一翼を但う役割を果たし得るドクターカーの早期普及を期待しております。
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